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始業式が行われました。校長式辞

DATE : 2010/4/5
日程:2010年04月05日(月)

始業式 校長式辞

 みなさん、おはようございます。
 今日は、新しい学年、2010年度最初の日です。そして、新しい校名、「中央大学横浜山手中学校高等学校」がスタートし、皆さんはそれぞれ学年が一つずつ進みました。進級おめでとう。
   
今日は、新年度の初めに当たって、本校の歴史を校名の変遷によって辿ってみることにします。

  1908年 横浜女子商業補習学校創立
       銅像にもある渡邊たまさんたちが、明治時代のあって、女性の自立と、社会進出の必要性を認めて起こした日本最初の女子商業学校であり、まさにパイオニアとしての行動でした。
  1925年 横浜女子商業学校
  1934年 現在地へ移転
  1948年 横浜女子商業学園高等学校、中学校
  1992年 高校に普通科を設置
  1994年 横浜山手女子高等学校・中学校
  2008年 創立100周年
  2010年 中央大学横浜山手中学校・高等学校

新しい歴史を刻む ~ 君たちは新しい時代のパイオニアです

 次に、新しい年度と校名が始まるに当たって、校訓と教育方針について少しお話をします。
校訓「謝恩礼節、自立実践」は、本校の歴史と未来を見つめる中から、先生たちが長い時間をかけ、議論を重ねて生み出したものです。実にいい言葉ですねえ。せっかくですから、その意味するところを説明しましょう。

 謝恩とは、皆さんおわかりのように、受けた恩に感謝の気持ちをあらわすことです。礼節とは、礼儀と節度のことです。礼儀とは、社会生活の秩序を守るため に人々が守るべき行動様式、行動のかたちです。「あなたは礼儀正しいですね」と言われたならば、それは社会生活を営む上でのある種の免許皆伝を得たという ことになりますね。次の節度とは、度を越さない、言葉や行いがちょうど良い程度であることです。ちょうどよいというのが実際はとても難しいんですよね。
 自立とは、他の助けや支配を受けずに自分の力や考えでやっていくこと。自分勝手にやることとは違うようです。というのは、自立するには、その過程=プロ セスで、他の人やものの助けや援助を受けることがどうしても必要だからです。「私は自分一人で大人になったのだ」と言ったとすればその人はきっと友人や周 囲の信頼を得られないでしょう。つまり、自立は他立と表裏一体となっているのです。ですから自立するには他人の存在を認め、助け合わねばならないというわ けです。次の実践とは、自分で実際に行動すること、ただし、盲滅法に行動するのではなく、ある考えや主義に則って行動する、目的意識をはっきりさせて行動 することです。もう少し踏み込んで言うと、人間が行動を通じて、環境を意識的に変えていくことなのです。
 どうか校訓の意味するところを理解し、これを日常生活の中に生かしていくように努力してください。そして校訓への一層の深い理解と洞察によって、その意味するところが深化(深まる)していくことも期待しております。

 次に教育方針について簡単に説明します。
1.知性を磨き、徳性を涵養し、心身ともに健全な自立した人間を育てる。
2.人々の幸福と、社会の発展に寄与する意欲と行動力を兼ね備えた人間となるように努力を促す。
というのが、本校の教育方針の柱の部分です。したがって、この方針を実現するには、
(1) 常識を知ること、それを形にすること。つまり、当たり前の事を当たり前にできるようにすることが大切です。
(2) 謙虚に学ぶ気持ちが不可欠です。学ぶこと、知ること、「知」に対する素直な感動、喜び、感受性、つまり、しなやかな心が大事です。
(3) 心身の健康を維持することを心がける。これは「きちんと食べる、しっかり睡眠をとる」ことが基本です。しかしこれは、自分だけの問題ではなく、家族、友人 など自分の周囲にいる人のことを考える、大事にする、いとおしいと思うということと密接に繋がっていることを忘れないでください。
(4) 自分の現在、今の立ち位置を知ること、認めること。そうすることで、目標、ねらい、方針などが生まれます。

 私たちの教育方針は目新しいものではなく、むしろ陳腐とさえ言えるものです、しかしながら、陳腐ゆえに、非常に高い理想であり、実現するのは相当に難し い目標でもあります。そして、敢えて私達はこの高い理想に向かって進もうとしているのです。なぜなら、高い目標に向かって進もうとするところには強い意欲 が生まれ、同時に他の人や周囲を巻き込んでともに努力する、ともに生きる熱気が生じると信じているからです。

学年が進んで、上級生になることの意味を考えよう。

 上級生、つまりSenior の立場には喜びや充実感とともに、責任が伴います。明日の入学式には、みなさんの後輩たちが、夢や希望に胸躍らせてやってきます。先輩であるみなさんに大 いにあこがれて入学してきます。そこで、上級生たるみなさんは senior としてどのように振舞ったらいいのでしょうか。
 私が願うのは、君たちは、温かく、大きな気持ちで、しっかりと胸を張って、威張るのではなく、毅然として、わたしたちのこの学校に誇りと自信を持って  新入生たちを迎えていただきたいということです。ぜひ、そうしてもらいたいと思います。それこそが、senior たる皆さんの責任であり、喜びであり、これからの学校生活の中にけじめと自己責任と努力を、また協力と助け合い、つまり「和協」の雰囲気を育むことになる のです。他の人の喜びや幸せが、結局は自分の喜びや幸せになりのだということを信じ、目標を高く掲げて、この一年間が充実した日々になるように歩みを進め ていきましょう。いつの日にか振り返ってみた時、「あの一年こそが、自分の人生の転換点( turning point)になった」と実感できるように、ともに頑張りましょう。